慢性的な痛みからの解放

 今回は、痛みについてお伝えしていきたいと思います。

そもそも痛みとは何かしていますか?

 痛みとは何らかの不具合よって生じた影響の一つで、人としては痛みによって身体の"SOS”を出しています。

 今回は、痛みとは何かについて、産業理学療法士の私なりに"知っていると得をする”という事を中心にまとめてみましたで、ぜひ最後までお付き合い下さい。

 

 

 国際疼痛学会による痛みの定義は『実質的または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいは、そうのような損傷を表す言葉を使って表現されるふかんあ感覚・情動体験』とされています。

 この定義には注釈がついており、痛みの特徴として重要なものとして2つあります。

①組織損傷などの原因が明らかである場合も、そうでない場合も、本人が「痛い」と感じていれば痛みは確かに存在する

②痛みは身体の感覚であると同時に、情動的側面を有する

 

難しい言い方ですが、要約すると、痛みは主観的な訴えであるが、それが組織損傷によって生じているか、そうでないかなど組織損傷に見合った物なのかを見分ける必要があり、痛みは怒りや悲しみなどの感情を含めて捉える必要があるという事なのです。

 

 

痛みには大きく分けて急性疼痛と慢性疼痛があり、

 急性疼痛は、怪我をした直後や手術をした直後に痛む組織損傷に伴って生じる痛みであり、足や手などで受け取った刺激を身体の異常として脳に知らせる警告信号の役割を果たす生理的意義のある痛みであります。

 慢性疼痛は、警告信号としての役割を必ずしも果たさない病態生理的な痛みであり、3〜6ヶ月以上続く長期間の痛みが残存しているのが慢性疼痛です。国際疼痛学会では慢性疼痛は「治療に要すると期待されている時間の枠を超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛み」と定義されています。つまり簡単にいうと、組織損傷が十分治癒しているにもかかわらず、あるいは痛みの原因となる組織損傷が明確でないにもかかわらず持続する痛みや、変形性関節症のように長期間にわたり侵害刺激が加わり続ける痛みとされています。

 このように急性疼痛と慢性疼痛は時間的経過のみの違いで区分されるものではなく、病態の違いによっても区分されるもので、それぞれ適切な対処法を選択する必要があるのです。

 

 最近では、慢性疼痛の影響で生活において様々な支障をきたす要因になるという報告もあります。また、慢性疼痛に関しては、心理社会的要因として時間が経って傷も治り痛みも出ないなずなのに痛みを感じるといったケースが多くみられるようになります。急性疼痛の際に痛みを我慢しながら過ごしたり、痛みがあることによって援助を受けれる経験を重ねると、頭の中では『怪我をして間もないから痛い』から『身体を動かす事=痛い』という誤った認識に変わりやすく、痛みそのものよりも身体を動かす事自体への恐怖心を抱く慢性疼痛者は非常に多くなっております。それによりその後の生活の満足度を下げるとして慢性疼痛は問題視されています。

 

 先ほど述べたように慢性疼痛は、痛みがないにもかかわらず痛いと感じてしまう場合が多く、多くの人がそれを病態のせいであると諦めてしまっている現状もあります。また、病院で主治医の先生から〇〇ですと診断をうけ、私は病気なんだと思う情動的な事も慢性的な痛みに繋がっております。

 確かに、神経系から来る痺れや痛み、筋肉の強張り感などは完全に治すということは正直厳しいものもあります。しかし、身体を動かす=痛い、病気になったから痛い という認識のままでいると、"廃用”による、つまり動かないことによって筋肉が硬くなり、血管や神経を圧迫することによる痛みや心理面においての二次的な痛みを引き起こすことにも繋がります。

 

 ここで少し、細かい話になりますが、痛いと感じるのは脳で"痛みを感じる”からと思いますよね。

 しかし、脳には痛みを感じる場所がないんです!

 ではなぜ痛みを感じるのか。それは痛みの受容器(感じる場所)は手や足などの末梢に存在しており、そこからの刺激情報が電気信号に変換され、脳の様々な場所に情報として伝えられます。そしてその場所において異常な情報が不快な感覚・情動体験である「痛み」として知覚され、認知されるながれがあるのです。

 

 日本において、生活や仕事になんらかの支障を来す痛みを保有している慢性疼痛者の割合は約13%で、疼痛治療を専門とする医療機関(ペインクリニック)に通われている割合はわずか0.8%と諸外国に比べ低い数値となっております。すなわち、日本人の慢性疼痛保有者は、痛みは病気の一症状であり、一生付き合っていかなければならないと半ば諦めていると考えている人が多いという事です。

 でも、逆に痛みが抑えられたら前向きな考え方ができると考えている人も多い為、十分な疼痛治療ができれば生活の質(QOL)の向上が可能となるという事なんです。

 

 私自身、臨床にて慢性疼痛の患者さんを多くみてきました。その中でもやはり、心理面で痛みに繋がっている事が多くみられ、それに対して適切な方法を取る事で痛みが軽減している方は何度も見てきました。

 ですので、今現在長い間痛みや痺れなどの不快感に悩んでいる方は、是非とも病院に主治医の先生だけでなく、ペインクリニックなどの疼痛専門の医療機関に受診し、その慢性疼痛が本当に病態から来るものなのかを自分自身で分かった上で何が必要かを判断する事も痛みから解放される近道として重要な手段であると私は考えます。

 今よりもきっと明るい人生を過ごすためにも、是非参考にしてください。。

 

 

でわ、また次回に!

To be continued!✋